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2020

Observation/Oscillation 観察/振動

for multiple performer, observer and electroacoustic environment (2020)

複数のパフォーマー、オブザーバーと電子音楽的環境のための (2020)

演奏時間:不確定

Matrix マトリックス

for amplified ensemble and soloist (2020)

アンプリファイド・アンサンブルとソリストのための (2020)

Duration: ca.20’

演奏時間:約20分

Instrumentation: Saxophone (alto and soprano), Tuba, Percussion, Piano, Electronics and Improvising Soloist

編成:サクソフォン(ソプラノ、アルト持ち替え)、チューバ、打楽器、ピアノ、エレクトロニクス、即興ソリスト

2019

2019

Watering ウォータリング

Mapping experiment in different contexts for 8 performers including dancers (2019)

(Version for 7 performers also exists)

異なる文脈におけるマッピングの実験

ダンサーを含む8人のパフォーマーのための (2019)

(7人のパフォーマーのためのバージョンも存在)

Duration: ca.30’

演奏時間:約30分

Instrumentation: Clarinet, Violin, Violoncello, Piano, Electronics

編成:クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、エレクトロニクス

プログラム・ノート:

タイトルであるWateringには、水やり、波紋などの意味があります。また副題にあるマッピングとは、ある要素を何らかの規則に基づいて、他の要素に対応づける事を意味します。

 

振付家の青木尚哉さんとの最初の打ち合わせの際、水に関するイメージの話を共有し、それが今回のコラボレーションのスタートとなりました。楽器によって演奏される音素材の多くは、水滴が着水して波紋を形作るというイメージから作られており、作品中、それらの要素は繰り返し現れます。一方で青木さんは波紋という単語から、人間関係や社会における波紋の意味を連想し、人間の日常の動作を組み合わせた動きの素材を作り、それらを音素材にマッピングしました。そこから、更なる音素材や動きの素材の組み合わせへのインスピレーションを得て、新たにマッピングをする、といったキャッチボールを何度か経て、このような形となりました。

 

冒頭、まず日常的な動きの要素の基本的な形が示され、それに日常生活で耳にする様々な具体音、環境音がマッピングされます。これらの動きと音の要素は作品を通して繰り返し現れます。その後、水のイメージから作られた音素材のパターンに対して、同じくパターン化された日常的な動きがマッピングされます。加えて、それらの要素に具体音や環境音、編集されたラジオの音声等がコラージュ的にマッピングされていきます。

 

作品を通して断片的に聞こえるラジオの音声は、1941年12月9日に、アメリカ、コロラド州の州都デンバーで行われた、その2日前に起こった真珠湾攻撃に対する複数の男性市民へのインタビューの収録です。インタビュー中、司会者は真珠湾攻撃に対する反応の他に、彼らの名前、年齢、出生地、職業、年齢が高めの男性には結婚しているか、そして徴兵には応じるかと繰り返し尋ねます。作品後半には、日本のNHK、アメリカのNBC、そしてイギリスのBBCが報じた、太平洋戦争開戦のラジオ放送を断片的に編集した素材が挿入されます。淡々と事実を報じるBBC、戦意高揚のためか荘厳な音楽や軍艦行進曲も流れるNHK、シリアスなニュースの合間にプリンのCMやハリウッドからのジャズ演奏が挟まれるNBCと、各局のスタンスは様々です。特にNBCの、日常と戦争が隣り合っているイメージから強い印象を受け、多く素材を切り出しマッピングしました。

 

コラボレーションとはまさに、異なる文脈におけるマッピングであると思います。今回、水というイメージから始まったマッピングの実験、様々な切り口から楽しんでいただけると幸いです。

Multichorus マルチコーラス

Poly-Tempo Study for Large Jazz Ensemble based on George Gershwin’s “I Loves You, Porgy” (2019)

ジョージ・ガーシュウィンの「I Loves You, Porgy」に基づく、ラージ・ジャズ・アンサンブルのためのポリテンポ・スタディ (2019)

Duration: ca.17’

演奏時間:約17分

Instrumentation: 5 Saxophones (also Flutes and Clarinets), 4 Trumpets (also Flugelhorns), 3 Trombones, Bass Trombone, Voice, Electric Guitar, Piano, Bass, Drums

編成:5サックス(フルート、クラリネット持ち替え)、4トランペット(フリューゲルホーン持ち替え)、3トロンボーン、ベース・トロンボーン、ボイス、エレクトリック・ギター、ピアノ、ベース、ドラム

Program Note:

As the subtitle implies, the melody borrowed from Gershwin’s “I Loves You Porgy” is drawn throughout the piece with different tempo from other coexisting sounds, which become the base of the piece. The number of tempi shared by each player during the performance changes from one to multiple number. As multiple elements with different tempi exist in same time and space, things like tension, color change and imbalance appear in almost unpredictable way, as if it were a kind of surface of this world, in which multiple voices with their own different tempi coexist. 

プログラム・ノート:

この曲ではサブタイトルが示唆するように、ガーシュウィンの “I Loves You Porgy”から借用したメロディーが、曲の下地を構成する音とは異なるテンポで描かれます。曲中、プレイヤーの間で共有されるテンポの数はセクションごとに1から複数まで変化します。異なるテンポを持った複数の要素が同じ空間に存在することにより、緊張、色彩の変化、アンバランスさなどが、半ば予測不能な形で表出します。まるでそれぞれの時間を持つ複数の (multi-) ヴォイス (chorus) が共存する、この世界のある種の表層のように。

Geometric Thoughts 幾何学的考察

Compositional Improvisation for 2 or more performers (2019)

2人以上のパフォーマーのためのコンポジショナル・インプロビゼーション(2019)

Duration:  indeterminate

演奏時間:不確定

Contour I 輪郭 I

for any number of dancers and 3 instrumentalists (wind, string, keyboard) (2019)

任意の数のダンサーと3人の器楽奏者のための(管楽器、弦楽器、鍵盤楽器)(2019)

Duration: ca.30’

演奏時間:約30分

2018

2018

Warum ist das Fragen sinnlos? なぜ問うことは無意味なのか?

vier Monologe nach Franz Kafkas Tagebüchern

for clarinet, violin and piano (2018)

フランツ・カフカの日記による4つのモノローグ

クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための(2018)

Duration: ca.9’

演奏時間:約9分

SPON スポン

Counterpoint Study for Large Jazz Ensemble (2018)

ラージ・ジャズ・アンサンブルのためのカウンターポイント・スタディ(2018)

Duration: ca.12’

演奏時間:約12分

Instrumentation: 5 Saxophones (also Flutes and Clarinets), 4 Trumpets (also Flugelhorns), 3 Trombones, Bass Trombone, Voice, Electric Guitar, Piano, Bass, Drums

編成:5サックス(フルート、クラリネット持ち替え)、4トランペット(フリューゲルホーン持ち替え)、3トロンボーン、ベース・トロンボーン、ボイス、エレクトリック・ギター、ピアノ、ベース、ドラム

 

Program Note:

In this piece, players share the same tempo from the beginning to the end. At the beginning, players are split into five groups, and draw five different lines spontaneously. As a result of coexisting different lines, various texture changes appear, then they gather and develop, and finally it is split again.

 

This process is repeated several times until the music ends. Multiple spontaneous motions become a larger movement and it eventually breaks up, as a kind of pattern of phenomenon, which often appears in this world.

プログラム・ノート:

この曲ではプレイヤーは最初から最後まで1つのテンポを共有します。冒頭、プレイヤーは5つのグループに分けられ、5つの異なる線を自発的に (spontaneous) 描き出します。そしてそれらの線が同時に存在する結果として様々なテクスチャーの変化が現れ、その後一つの大きなまとまりとなって展開し、最後には再び解体されます。

 

このプロセスは、曲が終わるまで何度か繰り返されます。複数の自発的な動きが大きな運動となり、最終的には解体される、この世界でしばしば起こる現象のある種の類型として。

Night Dreamer ナイト・ドリーマー

for Large Jazz Ensemble (2018)

ラージ・ジャズ・アンサンブルのための(2018)

Duration: ca.15’

演奏時間:約15分

Instrumentation: 5 Saxophones (also Flutes and Clarinets), 4 Trumpets (also Flugelhorns), 3 Trombones, Bass Trombone, Voice, Electric Guitar, Piano, Bass, Drums

編成:5サックス(フルート、クラリネット持ち替え)、4トランペット(フリューゲルホーン持ち替え)、3トロンボーン、ベース・トロンボーン、ボイス、エレクトリック・ギター、ピアノ、ベース、ドラム

2017

2017

Karnatic Sketch カルナティック・スケッチ

for Large Jazz Ensemble (2017)

ラージ・ジャズ・アンサンブルのための(2017)

Duration: ca.14’

演奏時間:約14分

Instrumentation: 5 Saxophones (also Flutes and Clarinets), 4 Trumpets (also Flugelhorns), 3 Trombones, Bass Trombone, Voice, Electric Guitar, Piano, Bass, Drums

編成:5サックス(フルート、クラリネット持ち替え)、4トランペット(フリューゲルホーン持ち替え)、3トロンボーン、ベース・トロンボーン、ボイス、エレクトリック・ギター、ピアノ、ベース、ドラム

Teppich der Erinnerung 記憶の絨毯

for Piano (2017)

ピアノのための(2017)

Duration: ca.15’

演奏時間:約15分

プログラム・ノート:

この曲は、同じタイトルを持つ連作絵画のように、そこに描かれているかたちはそれぞれ異なるものの、素材とコンセプトを共有する4つの楽章から成り立っています。ピアニストがランダムな幾何学模様をその場で生成していくというイメージで作曲されました。

 

ウィキペディアによると幾何学模様とは、

 "三角形、四角形、六角形などの多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、色の変化、拡大、縮小、分割などの操作を加えながら、連続して組み合わせ配列を展開して作った模様。同じ操作を繰り返すことで無限の模様展開が可能である" https://ja.wikipedia.org/wiki/幾何学模様

 

とありますが、まさに上記のようなことが作曲上行われています。具体的には、2, 3, 4, 5, 7音から成る黒鍵または白鍵によるクラスターと半音階が部品となり、楽章ごとに異なる拍節構造を持つループのパターン上で上記のような操作を加え、それぞれの部品を組み合わせて模様として展開させました。

 

タイトルは、パウル・クレーの同名の絵画によります。絨毯をモチーフにしてはいますが、必ずしも規則的なパターンが広がっているわけではないところがこの曲と共通しています。

Dreizehn Hüllen 13の包み

for Free Jazz Trio and Large Ensemble (2017)

フリージャズ・トリオとラージ・アンサンブルのための(2017)

Duration: ca.14’

演奏時間:約14分

Instrumentation: Tenor Saxophone, Bass, Drums, 4 Saxophones (also Flutes and Clarinets), 4 Trumpets (also Flugelhorns), 3 Trombones, Bass Trombone, Electric Guitar, Piano

編成:テナーサックス、ベース、ドラム、4サックス(フルート、クラリネット持ち替え)、4トランペット(フリューゲルホーン持ち替え)、3トロンボーン、ベース・トロンボーン、エレクトリック・ギター、ピアノ

2016

2016

trans- II トランス- II

for Soprano, Euphonium and Live Electronics (2016)

ソプラノ、ユーフォニアムとライブ・エレクトロニクスのための(2016)

Duration: ca.19’

演奏時間:約19分

プログラム・ノート:

「trans- II」は、女声、フルートとエレクトロニクスのために書かれた「trans-」の続編で、一人の女性の内的対話をテーマにしています。曲は5つのパートからなり、第1パートと第4パート、第2パートと第5パートがそれぞれ対応しています。独立した第3パートが鏡のように時間の中心にあり、それを挟んで2つの要素がそれぞれ並んでいます。曲中で使用されるテキストは、フランツ・カフカの「ミレナへの手紙」からの抜粋です。カフカの多数の手紙の中で示される、他者と繋がる際の内的葛藤や、あまり双方向的とは言えないコミュニケーション作法などが、「trans-」のテーマと重なっています。曲中、奏者は照明で区切られたステージ上を移動しますが、これは一つの部屋をイメージしており、この舞台設定についても、カフカの手紙の一節から着想を得ました。タイトルである「trans-」は接頭辞として「越えて」、「貫いて」、「他の側へ」などの意味を持ちますが、「transmission」、transform」など、語尾に他の語を必要とし、それ自体では語として自立し得ない形態素(言語学の用語で、意味を持つ最小の単位)です。そこから孤独や空虚さ、思考や感情の伝達の難しさを連想し、タイトルに据えました。

Multiform マルチフォーム

for 3 or more Performers (2016)

3人以上のパフォーマーのための(2016)

Duration:  indeterminate

演奏時間:不確定

2015

2015

Night-Angle 夜-角度

for Accordion and Piano (2015)

アコーディオンとピアノのための(2015)

Duration: ca.9’

演奏時間:約9分

Program Note:

The title of this piece is an anagram of “Nightingale”. Before I started to compose, I listened to the piece called “Entente for Accordion and Harp” composed by an American composer and accordionist,  James Nightingale. The beginning of this piece and the fact that the accordion sounds in higher register are similar to birdsongs somehow inspired me to compose this piece. This piece consists of three short movements. I composed the second movement at first, then the third movement and the first movement at last. The theme while composing this piece to me was to cut. I cut the materials as if I make a sculpture, I trimmed them and I cut further details. For the pitch materials, I made a matrix which is based on the Serial I made and I took the combinations of pitches from the matrix relatively freely. Both the first and the third movements are based on the materials which are used at the second movement and they are as mirrors put between the second movement. In the all movements, there are two contrasting sections and they are repeated alternately. The finger actions of Piano are treated as switches to switch each section. I am often inspired by films. Switching sections in this piece is like switching cameras in a film. Once cameras are switched, we watch another scene. Then cameras are switched back, but we can not watch the same scenes exactly because the time has past. This sort of irreversibility fascinates me a lot.

プログラム・ノート:

タイトルはナイチンゲール(Nightingale)のアナグラムです。この曲はアメリカ人作曲家、アコーディオニスト、James Nightingaleのアコーディオンとハープのための”Entente”の冒頭部分と、鳥の鳴き声とアコーディオンの高音が似ている事にインスパイアされ作曲されました。曲は短い三つの楽章から成立しており、始めに第2楽章が、その次に第3楽章が、最後に第1楽章が作曲されました。この曲は、削るという事をテーマにしています。彫刻を作るようにまず大まかに素材を切り出し、曲全体の形を整え、その上でさらに細部を削って行くという手法で作曲されました。音高素材としてはセリーに基づくマトリックスを作り、その中で様々な組み合わせを比較的自由に取り出しました。第1楽章、第3楽章ともに第2楽章で使われる素材が基になっており、第2楽章を挟む二つの鏡のような形になっています。全楽章とも対照的なセクションが交互に繰り返され、セクション間の切り替えはピアノの打鍵がスイッチ代わりになって起こります。私はよく映像作品から影響を受けますが、この曲のセクション間の切り替えは映像作品におけるカメラの切り替えと同じです。カメラが切り替わり、今までとは違った場面が映し出され、また元の場面にカメラが切り替わります。しかし、時間は経過しているため、全く同じことがそこで再現される訳ではありません。このような時間の不可逆性に私は魅了されます。

Ascending アセンディング

for Bassoon (2015)

バスーンのための(2015)

Duration: ca.8’

演奏時間:約8分

Program Note:

The title of the piece “Ascending” comes from one of the paintings by Morris Louis (1912 - 1962), American painter and one of the leading figures of “Color Field Painting.” Before composing this piece, I was in Japan and visited the “Kawamura Memorial Museum” in Sakura, Chiba. There is a famous “Rothko Room” in the museum in which 7 paintings by Mark Rothko are displayed, and the main purpose of my visit was to see the room. After very inspiring time in the Rothko Room, I met a painting of Louis called “Number 1-49” in another room and I was immediately fascinated by that. I stayed in the room for a while and looked at the painting from different angles and distances. The time I spent there was extraordinary to me and I wanted to bring the feeling into my piece. “Number 1-49” is one of his so-called “Stripe Paintings” and “Ascending” is also one of them. Each “Stripe Painting” looks similar at a glance but they are actually very different if one looks at them carefully. It somehow reminds me of our lives. We do similar things every day but nothing is the same. We repeat them until it stops as the Stripes painted by Louis. In my piece, similar things are also repeated, but they change constantly as if one looks at his panting from different angles and distances.

プログラム・ノート:

この作品のタイトル、「アセンディング(Ascending)」は、カラーフィールド・ペインティングというスタイルの重要な作家の一人である、モーリス・ルイス(1912-1962)の作品から取られています。作曲前、私は千葉県佐倉市にある川村記念美術館を訪ねました。そこにはマーク・ロスコの7枚の絵画が飾られた有名な「ロスコ・ルーム」があり、私の来館の目的はその部屋を見ることでした。その目的は果たされ、インスピレーション溢れる時間を過ごした後に、別の部屋で私はルイスの「No.1-49」という絵画に出会いました。私はその絵に即座に魅了され、長い時間その部屋にとどまり、様々な角度、また距離からその絵を見続けました。その時間は私にとって、本当に特別なものであり、その時に感じたものを今回の作品に持ち込めたらと考えました。「No.1-49」はルイスの作品群の中でいわゆるストライプ・ペインティングと呼ばれるもので、「アセンディング」もその中の一つです。それぞれのストライプ・ペインティングは、一目見た瞬間はとても似て見えます。しかしじっくりと時間をかけて見ると、実はとても異なったものだということがわかります。それは私に人生を思い起こさせます。私は毎日同じようなことをして過ごします。しかし、全く同じ日は二つとありません。それはまるでルイスの絵の中のストライプのように、私たちの人生が終わる瞬間まで続きます。今作品でも似ている物事が続きます。しかしそれらはまさに、ルイスの絵を異なる角度や距離から見た時のように変化し続けるのです。

traces II 軌跡 II

for 16 Instrumentalists (2015)

16人の器楽奏者のための(2015)

Duration: ca.12’

演奏時間:約12分

Instrumentation: Flute (also Bass Flute), Oboe, Clarinet (also Bass Clarinet), Bassoon, Horn, Trumpet, Trombone, Tuba, 2 Percussion, Piano, 2 Violins, Viola, Violoncello, Double Bass

編成:フルート(バス・フルート持ち替え)、オーボエ、クラリネット(バス・クラリネット持ち替え)、バスーン、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、2パーカッション、ピアノ、2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

Program Note:

This piece was composed based on the idea contrasting two different instrumental groups, namely, piano, percussions which can not hold the notes, and brass, string instruments which can hold the notes. The actions of piano and percussions become triggers and the chords by brass and string instruments appear after that. This piece is divided in four movements which have similar materials and the character of each movement changes according to the treatment of the materials. The major third interval which is played at the beginning appears throughout the piece. These major third intervals and the chords played by brass and string instruments as resonances of piano and percussions remind me of traces, sign of something that once existed. Therefore I named “traces” and since I already composed another “traces” for big band, it became “traces II”.

プログラム・ノート:

この曲は、減衰楽器であるピアノ、打楽器と、音を持続させられる管楽器、弦楽器を対比させるというアイデアに基づいて作曲されました。ピアノと打楽器の打つ動作がトリガーとなり、管楽器と弦楽器による和音が現れます。曲はそれぞれ似た素材によって構成される4つの楽章に分かれており、素材の扱われ方によって、楽章ごとの性格が変化します。冒頭に演奏される長三度のインターバルは全楽章を通して様々な場面で現れます。この長三度のインターバルと管楽器、弦楽器によって奏でられるピアノと打楽器の残響を基にした和音が、かつてそこに何かがあった”跡”を感じさせるため、また、過去にも”traces”という名の曲をビッグバンドのために作曲していたため、”traces II”と名付けました。

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